マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



…何なの。このホラーのような展開は。



まさか、これは。

逃げようとしたら追ってくる展開?

『俺から離れたら許さないぃぃっ!』と、泣きながら刃物を振り回して追ってくる展開?!



…な、ワケないか。



蓑島くんが、私のことを本気じゃないのはわかっている。

それは、横川さんに対する態度と比べて明らかだ。



私の前では、笑顔を崩さずにただ「可愛いね可愛いねー?」と、甘やかして溺愛する。

…まるで、ペットを可愛がるかのように。



一方、横川さんに対しては、ツーカーな関係でまさしく信頼の一言を物語っている。

加えて、自分の感情を表したり、照れた様子を見せたり。



…どっちが『恋人』のような関係と言えば。

後者の方が、繋がりが深いような気がする。

本気の匂いがする。




それに、決定的なのは。

蓑島くんは私に本気で『好き』と言ったことがない。



私も、本気で人を好きでいたから、わかる。

蓑島くんの私に対する、その『好き』への必死さというものが、感じられない。



この世にはいろんな人がいて、愛し方も様々だと言われたら、それまでだけど。

でも、違うような気がする。



「…ねえ、蓑島くん」



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