王子様とブーランジェール








「…はぁっ?!マジ?!」


その後、とりあえず部活に出る。

練習着に着替え、グランドに行き、練習の準備をしていると、三年生がやってきた。



三年女子。

狭山エリとナツキ。

先代のミスターのファンクラブ。



ちょっと気になったので、先輩に尋ねてみる。

ついでに、放課後にヤツらが一年の教室に乗り込んできたことも。

すると、先輩は一気に表情を恐怖へと変えた。



「り、竜堂!マジか!アイツらが一年の教室に来たのか?」

「そうなんすよ。金属バットブンブン振り回して暴れて、ダチが危なかったんすよ…」

「大丈夫だったか?他にケガ人出てなかったか?死んだヤツはいなかったのか!」

「まあ…」

俺が撃退したということは、置いといて。

死んだヤツって大袈裟な。

でも、あのバットが頭にブチ当たってたら、死人騒ぎだったか。



同じポジションの先輩、木元さんの話によると。


狭山エリ。三年四組。

学校1の問題児。

この高校に入学してから、たくさんの問題、事件を起こしてきた。

いつも偉そうにしており、口癖は「バカめ!」。

やたらと横暴で、自分たちに仇なす教師や生徒には、威嚇、暴言は当たり前。

授業中に教師を泣かしたり。

女子生徒を倉庫に閉じ込めて集団リンチをしたり。

挙げ句の果てには、男子生徒をボコボコにして、病院送りにし、停学?!

…あの強さなら、それも頷けるな。



そして、先代ミスターのファンクラブの残党。



…ミスターとは。

どうやら、うちの高校。

学校祭にミスターコンテストが行われるらしい。

女子生徒、公開日に立ち寄った他校の女子生徒や女性のお客様により、投票が行われる。

先代のミスターは、この春に卒業。

それまでは、不動の三連覇でこの星天高校の男子生徒のトップに君臨していた。

そのファンクラブの中心メンバーが、あの狭山たち。



一緒にいたナツキは、上山菜月、三年五組。

彼女は暴れん坊ではないが、パソコンや精密機械に精通しており、ネットワークが広い情報網。

その情報網を駆使して、他人の弱味や秘密を握り、暴露して脅迫する。

狭山エリのブレーン。




何だこの二人。

住んでる世界が違う。スパイとか極道の世界じゃねえか。

恐いコンビだな。



「とりあえず、竜堂。アイツらと関わらない方がいいぞ。身体的にも、精神的にも、社会的にも抹殺される」

「なんですかそれ。木元さん、抹殺されたことあるんですか」

すると、先輩・木元さんの顔色が変わった。

無言でいるが…あぁ、抹殺されたことあるんだな。


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