王子様とブーランジェール
まさか、不登校になった相馬愛里や、他の女子たちも同じ事をされていたのか?
これが、誠意なのか?
事の状況を把握していくにつれて、今まで抑えていた嫌悪感、憎しみ、怒り、いろいろな感情が一気に溢れ出てきた。
手が震え、頭が怒りでどんどん熱くなる。
違う。これは、誠意じゃない。
先生の『欲』だ。
俺の桃李に、何をする…!
もう、我慢が出来ない。
許されないわ…!
感情に任せておもいっきりドアを開ける。
ドアを音を力強く鳴らしてバシーン!と閉めた。
音が耳に入り、桃李も先生もピタリと動きを止めてこっちを見る。
『な、夏輝…』
『竜堂おまえ!見てたのか!』
もう、止められない。
『先生、何をやってるんですか!』
足を進めて、先生の前に面と向かって立つ。
自分より少し背の高い先生を、下から見上げて敵意丸出しで睨み付けた。
『先生…神田に何してたんですか?』
言葉で詰め寄るが、先生はそれをはぐらかすように鼻で笑う。
『竜堂、何か勘違いしてるんじゃないのか?先生は神田の最近の至らなさを指導して…』
『指導?生徒を指導するのに、腕を掴んで押さえ付けたりする必要、ありますか?』
『おまえ…』
『それに、服…服を脱がそうとしてましたよね?』
『それはそうではない』
はぁ?この期に及んでまだすっとぼける気か?
最近の至らなさ?桃李はいつもこうだろが!
それに、明らかに無理矢理脱がそうとして…!
『何が…何がそうじゃないんですか?』
『先生は神田に誠意を見せて欲しいと言ったんだ。でも神田は嫌がって先生に反抗したんだ。だから少し手が出た。だが、暴力ではない。あくまでも指導だ』
はぁ?何言っているんだ?
これが暴力じゃない?それに…。
こいつ、自分が何を言っているかわかってんのか?メチャクチャだぞ!
この人はもう、イカれてるのかもしれない。
『先生…誠意って、何ですか?』
『…そうか。竜堂も先生の言ってることがわからないか』
『ええ。さっぱりわかりません。でも、先生が何をしたかはわかります』
この人の言っている『誠意』とは。
先生の欲を満たさせるものでしか、もうない。
『先生のしたことは、セクハラですよ!セクハラ!セクハラと暴力だ!犯罪だ!』
俺の放った『犯罪』というワードに反応したのか。
とたんに、先生は掴みかかってくる。
一気に襟を締め上げられ、体が宙に浮き、壁に打ち付けられた。
『…夏輝!』