王子様とブーランジェール
baKed.8 王子様と罪悪感インフェルノ

俺の知らないところで何を


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baKed.8
王子様と罪悪感インフェルノ
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『…な、夏輝が…おでこにキスしてくるから、わ、悪いんでしょ!』





…覚悟しとけよ?



『幼なじみ』でもなく、『友達の弟』でもなく。

『男』として、おまえに意識させてやる。




そう決意を固めてから、早二ヶ月。

この宣言が早くも現実になったんじゃないかと。

あんな行動に出てしまったがばかりに。




もう、止められない。

抑えられない。











…と、言いながらも、翌週。

あの野球部の全校応援から早数日が過ぎようとしていた。




本日は、球技大会の三日目、最終日。

…あのクソ不良連中の件があったからか、月末に球技大会があるなんて、すっかり頭になかった。





『そーれっ!』




体育館では、女子の歓声が響いている。

サーブと共に女子が揃って掛け声をあげて、敵陣のコート内にボールが放り込まれた。



ただいま、男子のバレーボール、3位決定戦の真っ最中。

うちのクラスは、準決勝で三年生のクラスに負けてしまったが、同じく準決勝敗退の2年6組とのこの試合に勝てば、3位に滑り込み。

コート内では、理人と陣太らクラスメイトが頑張ってボールに食らい付いている。

それをコートの外で咲哉と見守る俺。

傍にはクラスの女子たちが、声をあげて頑張って応援していた。



相手のアタックを、ネットを挟んだ向こうの理人が跳びながら手をかざしてブロック。

跳ね返したボールは、ポトッと相手コートの床に落ちる。

一点追加。



「きゃあぁぁっ!和田くんカッコいいぃーっ!」

「男バスなのに、バレーもうまいー!」

「マジやばいぃーっ!」



理人が活躍する度に、女子の歓声が一際あがる。

ギャラリーの数、女子がすげえ。

理人目当てに見に来ている女子、結構いそうだ。

さすが、準ミス。



理人の活躍で、最終セットうちのクラスがリードしている。

こりゃ、あと少しでうちの勝ちだな。



「和田くんもう一本!」

「勝てる勝てるー!」



盛り上がりまくって、クラスの女子たちも応援に熱が入る。

そんなお祭り状態の様子を横目でチラッと見る。

その女子の集団の中には…。




「理人がんばれー!」




桃李もいる。

黒沢さんたちと一緒になって、声をあげたり、みんなで一緒に喜んだり手を叩いている。



ちっ。理人がんばれー!なんて、わざわざ名前を出して応援するんじゃない。

仲良しなのはわかるけど、ムッとくるじゃねえか。



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