先生。


私はこんなに怒ってるのに、嫉妬してるのに…


なのに先生は、優しくこんなこと言うもんね。





「泣くほど俺のこと好きなの」


「だから好きじゃな…」


「俺には全部、嫉妬しているようにしか聞こえないんだけど」





私の言葉を遮ってそういう先生は、さっきまでなかった余裕な感じを取り戻していた。





「違う!そんなんじゃ…」


「なんで服直さないの?俺のこと誘ってるんじゃなくて?」





そんなことすっかり忘れていて、ボタンに手をかけて止めようとした。


…のに、先生に抱きしめられるからそれが出来なくなる。





「あの子には数学教えただけだよ。だから機嫌なおして」


「機嫌…悪くないもん」


「ふっ。うん、そうだね?ごめんね?」


「…うざいほんと」





やっぱり私は子供で、先生は大人。


それが、こういう時に痛いほどわかる。





「でもさ、こういうのはもうやめて。俺離してあげられないって言ったよね?」

< 102 / 399 >

この作品をシェア

pagetop