先生。


先生と隣の助手席に乗り込んだら、今日も吸っていたタバコの臭いがした。





「私、タバコ吸う人嫌いです」


「居候のくせに生意気」





それから少しして、先生の家には着いたものの、やっぱり入るのはためらう。



だって、担任だよ?


私のせいでクビとか後味悪くない?





「やっぱり私…」





そう言って、まだ脱いでいないローファーを履き直した時。





「なに?緊張してんの?」





そう言って先生が、私の腕を掴んだ。



…笑ってる。


なんて意地悪な大人なんだ。





「緊張っていうか、なんか変な感じ…」


「そういう店で働いてるくせに、男の家は変なの?」





あ、そっか。



家だから変なんだ。


いつもホテルばっかりだから。



なんて、変に納得した。



私の腕を離してスタスタ歩いていく先生を追って、中に入る。

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