先生。


先生からの‘‘可愛い’’は、相当な破壊力で。


西野先生のことを、すぐに気にならなくなっちゃう私って本当に単純っていうかバカ。





「ねえ。西野先生と私、どっちが可愛い?」





だからほら。


またバカな質問しちゃうの。





「欲しがるね」


「ねえ、どっち?」


「そんな当たり前のこと聞かなくてもわかってんでしょ」





だけど先生も、小さく笑ってさ…





「潤」





なんて名前を呼ぶからもっと甘い。


先生はさらりと私が求めていた答えをくれるし、なんなら自分から聞いたくせに、恥ずかしすぎて聞かなきゃよかったと思えてくるくらい。





「…あ、私あれだ。先生に謝らなきゃ」





我ながら完璧な口実を思いついて、この場から離れようとしたのに。


大好きな腕で、私を引っ張るからまた元の位置に戻る。

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