先生。


ああ、初めてあった日に見た、あの感じだ。


声と怒った顔のトーンが合っていないよ。





「夏目も座れ」





普段、苗字なんて呼ばれないから、先生の言葉が余計に冷たく感じだ。


自然に俯くけど、目が泳ぐ。



…先生は見たのかな。


そう思うと、どこから来るかわからない震えが襲った。




それからピリピリしたムードで授業が始まって、終わりまで先生以外は誰も話すことはなかった。


終了のチャイムが鳴ると、先生はさっさと帰ってしまう。





「司…ごめん…」


「あんなん事故だろ」


「そうだけど…」


「それより自分の心配しろよ。あいつすげぇ怒ってたけど」





司の言う通り。


もう、どうしていいかわかんないよ…

< 118 / 399 >

この作品をシェア

pagetop