先生。
「なんでいるの…」
「質問を質問で返すんじゃねえよ。お前が先に答えろ。俺の連絡無視してどこ行ってた?」
「どこだっていいでしょ?」
「は?」
この家に来て、先生に刃向かうことなんて一度もしたことない。
ここに来て、すぐに先生を好きになって。
甘い言葉に騙されてきた私は、何でも先生の言いなりだったもんね。
「どこ行ってた…「先生は、全部知ってたんでしょ?」
先生のイラついた声が、前は怖かったのに。
今では冷めた私の声が、それを遮る。
ねえ、これが本当の私かもしれない。
それが痛いくらい、想い出の詰まったこの部屋に響いた。
「知ってたって…「私があの女の娘だってこと。私を中間に置いて、あの女を繋ぎとめようとしてたの?」
そう冷たくいい払えば、先生の目が大きく開かれたのがわかった。