先生。


先生はきっともう、私なんて好きじゃない。



だけど優しいから。


気を遣ってくれてるんだ。



どうしてそんなことにも気づけないんだろ…





「…俺は嘘つきだね」





沈黙を破った先生の呟きが、痛いほどに哀しかった。



きっと、前からわかってた。


先生の優しさに甘えて、無理させてたのは私だったんだ。



怒りも悲しみも、切なさも、苦しさも、心から感じるこの愛しさも…皮肉なものなんだよ。



全部…教えてくれたのが先生だなんてさ。





「…変わらない気持ちなんてないよね」





先生を纏うのは負のオーラのはずなのに、私の目には輝いて見えて、恋の錯覚を起こす。



この人が私のものだなんて、奇跡なんだきっと。


必然になる可能性は、ゼロに近い束の間の夢。



そして多分もう、この幸せな夢は…終わりだ。

< 326 / 399 >

この作品をシェア

pagetop