先生。
先生がそんな嘘をついたって、なんのメリットもないってわかってる。
きっと、信じられないんじゃなくて、信じたくないんだ。
「なんで…何で今さら…」
「最後だからだよ。海外に行く前に、潤の母親として幸せを願ってた」
やるせない涙が溢れて、俯く私の先生がゆっくり頭を撫でた。
今まで、あんなに大嫌いだったのに。
たったこれだけで、会いに行こうって思える。
だからきっと、心の底からあの女を嫌いになれてなかったんだと思う。
…たった1人の私のお母さんだから。
空港に着くとひどく緊張していた。
なにを話せば良いのか、いくら考えてもなにも浮かんでこない。
「あのゲート前にいるって」