先生。


「まー、そうだね。楽しかったよ」





…嘘つき。


会ってももらえなかったくせに。





「その割にはなんか寂しそう」


「そうかな」


「どこ行ったの?」


「なんなのお前」





コーヒーをダイニングに持ってきた先生が、少しイライラした声で、私にそう言う。





「ねえ…先生のこと、好きになってもいい?」





やっぱり絶対、忘れないで。


昨日のことも。





「…ダメ」


「どうして?」


「こっち来て」


「…え?」


「早く来て」





こんなに素直でいられるのも、久しぶりに優しい声の先生を見るのにもびっくりして、自然とまばたきの回数が多くなる。


そんな中、キッチンに置いてある少し高い椅子に、座っている先生の前まで行った。

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