エリート弁護士は独占欲を隠さない
「九条さん、さすがです。これならできそうです」
感じた通りの賞賛を口にしたものの、彼はニコリともせず呆れ顔。
弁護士の多くはデスクの上の書類が雪崩を起こしそうになっているというのに、九条さんはいつもきっちり片付いている。
彼にしてみれば当然か……。
「少しは頭を使え。お前、なにから手をつけていいかわからなくて勉強ができなかったタイプだろ」
はいっ? 私は褒めたのよ? その返事がこれ?
デスクが整理されていると賢いってこと?
でも、あの難関司法試験をクリアしてきた人たちも、散らかってるよ?
だけど私のことに関しては図星なので、反論できない。
罵られて悔しいけれど、少しでも追いつけるように頑張るしかない。
返事をすることなく今日中に片付けなければならない書類に手を伸ばすと、九条さんは離れていった。
それから一時間。
黙々とデスクワークをこなしていると、再び九条さんに呼ばれた。
「五十嵐、コーヒー」
「……はい」