エリート弁護士は独占欲を隠さない
九条さんは『九条先生』と呼ばれるのが嫌いらしく、私を含めて皆『九条さん』と呼んでいるけど、迫田先生は対外的に呼び捨てするときも緊張するほどで、圧倒的な存在感がある。
「九条さん、五十嵐さんをパラリーガルに育てようと思ってるように見えるけど」
「そんな希望は出してないんですけどね」
私は法学を学んだわけでもなく、弁護士を目指しているわけでもない。
そりゃあ知識を身につけたら武器にはなるけど、松下さんのように勉強したことがないんだから、てんてこまいだ。
「覚えて損はないわよ。九条さん、厳しいけどやることに無駄はないもん。勉強するには最適だと思う」
「そうですけど……」
そうは言っても、毎日罵声を浴びていたらイヤにもなるわよ。
私はコーヒーをセットしたあと、カップを出しながらため息をついた。
「五十嵐さんって、食らいついてくるタイプじゃない」
「えっ?」
意外な指摘をされてキョトンとする。