エリート弁護士は独占欲を隠さない

「失礼ですが、どの弁護士が担当しておりますでしょうか?」

『えーっと、お名前を忘れてしまって。どなたでもわかると思いますので、弁護士さんを……』

そんなのムチャクチャだ。

そりゃあ、一般的な回答ならどの弁護士でもできるだろうけど、担当外の返答を勝手にはできない。

しかもこの電話、かなりアヤシイ。


「すぐにお調べしますが、どのような書類ですか?」


だから私は思いきって尋ねた。


『交通事故の……』
「事故についてのなんの書類でしょう? いろいろございまして」
『あっ、いや、もういいです』


畳みかけると、電話はガシャンと切れた。


「五十嵐さん、どうしたの?」


すると、向かいの席の松下さんが気にかけてくれる。


「多分迷惑電話です。細かなことをお尋ねしたら切られました」


こうして弁護士を電話口に出させて、不動産の購入を勧めてくるなんてことがある。

以前わからずに九条さんに取り次いでしまい、大目玉を食らった。

弁護士は収入が多い人も数知れず、狙われているのだ。
< 19 / 45 >

この作品をシェア

pagetop