エリート弁護士は独占欲を隠さない
「失礼ですが、どの弁護士が担当しておりますでしょうか?」
『えーっと、お名前を忘れてしまって。どなたでもわかると思いますので、弁護士さんを……』
そんなのムチャクチャだ。
そりゃあ、一般的な回答ならどの弁護士でもできるだろうけど、担当外の返答を勝手にはできない。
しかもこの電話、かなりアヤシイ。
「すぐにお調べしますが、どのような書類ですか?」
だから私は思いきって尋ねた。
『交通事故の……』
「事故についてのなんの書類でしょう? いろいろございまして」
『あっ、いや、もういいです』
畳みかけると、電話はガシャンと切れた。
「五十嵐さん、どうしたの?」
すると、向かいの席の松下さんが気にかけてくれる。
「多分迷惑電話です。細かなことをお尋ねしたら切られました」
こうして弁護士を電話口に出させて、不動産の購入を勧めてくるなんてことがある。
以前わからずに九条さんに取り次いでしまい、大目玉を食らった。
弁護士は収入が多い人も数知れず、狙われているのだ。