エリート弁護士は独占欲を隠さない
「社会人たるもの、時間に遅れるとは……」
「だって迷惑電話が!」
「そういう事態があっても、遅れないように余裕をもって仕事をするべきだろ」
あぁ、さっきの電話のせいよ!
「申し訳ありません。あとは印を押して郵便局に出しに行けば……」
「は? 郵便局に寄れと?」
だって、すぐそこじゃない。
郵便局はありがたいことに徒歩五分ほどの場所にある。
「お願いします」
頭を下げると「仕方ない」と不機嫌全開で返された。
「図書館に行ってきます。直帰しますのでお願いします」
九条さんは他の事務員にそう伝えている。
図書館に行くのか……。
といっても、一般的な図書館とは違い弁護士のための施設で、担当している事件に必要な文献を探しに行くのだ。
私は慌ててデスクから入館カードを取り出してバッグに入れながら、ドキッとしていた。
急ぎではないものの、文献のコピーも頼まれていたから。
長い足を動かし、さっさと事務所を出ていく彼を小走りに追いかける。