エリート弁護士は独占欲を隠さない
オフィスはまだ新しく、『おしゃれなところで働いてるね』なんて友人からよく言われるものの、実際は髪を振り乱して叱られる毎日だ。
おしゃれどころか、それとはまったく無縁の日々で華やかさのかけらもない。
九条さんは地下三階の駐車場まで行き、彼所有の高級車に乗せてくれる。
「で、郵便局はすぐ終わるのか?」
「はい。ポストに入れるだけです」
そう答えると、車はすぐに発進した。
ハンドルを握る姿はとても様になっていて、黙っていれば極上の男。
いや、クライアントと接しているときなどは毅然としていて凜々しく、どんな質問にもすらすらと答える姿は尊敬の対象でしかない。
他の事務員やパラリーガルを叱っている姿なんて見たことがないし、嫌われているのかしら、私。
「すぐに行ってきます」
「あぁ」
郵便局で車を停めた九条さんにそう言い残し、ポストへ一直線。
無事に書類を投函して再び車に戻ろうとしたとき「あれ? 美咲?」と聞いたことのある声で呼び止められた。