エリート弁護士は独占欲を隠さない
「なに?」
「電話番号とかメッセージのID変わってない?」
「……うん」
それがなんだと言うんだろう。
「今度連絡する」
「えっ、なんで?」
「お互いの近況報告とかしようぜ。俺、結構頑張ってるんだぞ」
どうして別れた彼氏とそんなことをしなくちゃいけないの?
とはいえ、彼のその後が少し気になっていたのは否定できない。
「うーん。忙しくて。それじゃ」
きっぱり断るのも悪いかと思って時間がないとほのめかしてみたけれど、わかってくれたかな。
九条さんをこれ以上待たせるわけにはいかず、彰人の前から立ち去った。
「お待たせしました」
助手席に乗り込むと、九条さんは私に視線を送る。
「あの男、知り合い?」
「はい。大学時代の……。久しぶりだったので、挨拶を。お待たせしてすみません」
元彼ということは黙っておいた。
もう関係ないし、わざわざ教える必要もない。
「そう。それじゃ行くか」
彼は聞いたくせして興味もなさそうだ。
クールな表情を崩すことなく、アクセルを踏み込んだ。