エリート弁護士は独占欲を隠さない
図書館に着くと、いくつかの文献のコピーを頼まれてその作業に入った。
一方九条さんは別の気になる文献に目を通している。
その真剣な眼差しはドキッとするほどかっこよく、あの罵声も忘れそうになる。
「九条さん、コピーできました」
「あぁ。それじゃあ、あとはこれを読んでおけ」
差し出された厚い本は、文献かと思いきや法律事務に関する書籍だった。
目次を開くと、各書類の申請方法や専門用語の解説などがびっしりと並んでいる。
勉強の時間をくれるんだ……。
意外な配慮に驚いて目をパチクリしていると、彼はふと顔を上げる。
「なんだ?」
「い、いえっ。ありがとうございます」
お礼を伝えると、九条さんは私の目をじっと見つめたまま口を開く。
「無理をさせているのは自覚している。ただ、できないと思っているならやらせない」
ん?
一瞬なにを言われたのか理解できずに首を傾げたけれど、つまり……。
私には与えられた仕事をこなすだけの能力があると認めている。ということ?
「えぇっ!」
「声が大きい」