エリート弁護士は独占欲を隠さない
苦々しい顔をする彼は、一瞬のうちにいつもの冷たい上司の顔に戻っている。
でも、俄然やる気が湧いてきた。
「私、頑張ります」
小声で伝えると、彼は文献に視線を落としたまま口元を緩めた。
それから真剣に書籍を読んでメモを取っていたら「五十嵐」と声をかけられ顔を上げる。
「そろそろ閉館だ」
「あっ、もうそんな時間……」
図書館は十七時四十五分で閉まる。
ここに来てから二時間が経過していた。
「お前の集中力はすごいな」
「そうですか?」
こうして集中できるようになったのは、最初にガツンと雷を落とされたおかげかな。
「それだけ集中してるのに、できないのが信じられない」
あれ、褒めてるんじゃなかったの?
いちいち落とさないで!
「九条さんみたいに賢くなくてすみません。精進します」
不貞腐れて返すと、頬を緩めている。
「お前のそのへこたれないところ、長所だと思うぞ」
「はぁ……」
けなされたり褒められたり、忙しい。