エリート弁護士は独占欲を隠さない
九条さんとクライアントのところに行った帰りにランチを共にしたり、夜遅くまで事務所で仕事をしていて、帰り際にふたりで居酒屋に寄ったことはあるけれど、レストランを予約してあるなんて。
こんなふうに誘われたのは初めてで、驚きを隠せない。
「予約って、どういうことですか?」
女性を誘うつもりだったのに、キャンセルされたとか?
「お前のために予約したんだ」
呆れ気味に言われ、ハッとした。
「あっ、もしかして、誕生日……」
「今日、何枚書類を作成したんだ。何度も日付を入れただろ。自分の誕生日まで忘れたか?」
忘れてなんてない。
朝一番で作成した書類に九月二十八日と記したとき、誕生日だと気づいた。
でも、彰人と別れてから彼もいないし友達と会う予定もないので、いたって普通の一日だった。だから、すっかり頭から飛んでいた。
「まさか九条さんが祝ってくださるなんて思ってもいなかったんです!」
意外すぎて声も大きくなる。
「声がでかい。で? 行くのか行かないのか?」
「もちろん行きます!」