エリート弁護士は独占欲を隠さない
エレベーターに乗り込むときも私の背中を優しく押して先に乗せるし、緊張のあまり段差に足を取られると、「大丈夫か?」なんて甘い声で尋ねてくれる。
私を大切に扱う彼は、仕事のときとはまったく違った。
だけどこれが上流階級での女性に対するマナーなのかなと感心する。
仕事中のあの厳しい態度はなんなんだろうと思わなくはないけれど。
そして、大きな窓から海を見下ろせる席に着いたあとは、「なに飲む?」と柔らかな声色で質問された。
「九条さん、お車ですよね。アルコールじゃないほうが……」
「大丈夫。気にするな」
といっても、メニューを見てもなにがなんだかわからない。
ここは無難に、九条さんに選んでもらおう。
「お、お任せします。私はなんでも大丈夫です」
「じゃあ、一杯目はシャンパンにしよう。食べ物で苦手なものは?」
「えっと……あの……」
ダメだ。豪華なシャンデリアと、ふかふかの絨毯。
周りはドレスアップしているような人ばかりで、緊張のあまりうまく息が吸えない。