エリート弁護士は独占欲を隠さない

「はははっ。五十嵐、裁判所に行くときよりも表情が硬いぞ」
「そ、そんなことは……」


『ない』とは言えない。

裁判のときはもちろん緊張するけど、九条さんの能力を信じているので、たしかにここまでカチコチにはならないかも。


「今日は楽しむために来たんだ。余計な緊張はいらない。それで?」

「はい。私、お魚のタラがちょっとダメで。アレルギーがあるのか手がしびれることがあって」
「了解」

彼はそれからすぐにウェーターにそれを伝え、注文を済ませた。


「すみません。こんな素敵なレストランには来たことがないので、慣れなくて……」

「慣れていないのは仕方ない。それならまた来て経験を積めばいい」

『また来て』って? 
私のお給料では無理だ。


「いえっ。九条さんはいつも来られるでしょうけど、私は……」

「俺がまた連れてきてやる。他にもうまいイタリアンレストランを知ってるぞ」


九条さんが私を? どうして?
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