エリート弁護士は独占欲を隠さない
あれっ、今目の前にいるのは九条さんだよね。
中に青田先生入ってないよね?
そんなバカげたことを考えたのは、優しい言葉の数々があまりにも意外だったから。
「それに、根性は一流だ」
彼はニヤリと笑って付け足す。
もしかして、松下さんの言っていた通り、私が『ハードルが高ければ高いほど燃えるタイプ』だと感じていて、『わざと無理難題を言っている』ってこと?
今の意味深なニヤリはそれを示しているような気がしてならないけれど、聞き返す勇気もない。
だって、『これからもそうしてやる』と言われそうだし。
たしかに、私は乗り越える山が高いと頑張るタイプなのかもしれないけれど、優しくしてもらえるほうが断然いい。
でもそれでは、山を登るのが遅くなるのかな……。
そんなことをひとりで悶々と考えていると、九条さんはクスッと笑う。
こんなに笑顔を見せてくれるのは初めてじゃないだろうか。