エリート弁護士は独占欲を隠さない

「なに考えてる?」
「いえっ、なにも……」
「五十嵐はいじめ甲斐があって、毎日楽しいよ」
「いじめ反対!」


ムキになって言い返すと彼は白い歯を見せる。

もちろん、『いじめ』ではなく『叱咤激励』なんだろう。

わかっているけど、『激励』だけにしてくれてもいいのよ?

そんな言葉を呑み込みふくれていると、また彼は口元をほころばせた。


こんなに優しく笑う人なんだ。

クライアントと話をしているときに場を和ませるように微笑むところは何度も見てきたけれど、そのつくった笑顔とは違う。

内面から湧き出てくるというような自然の笑みに、緊張も緩んでいく。


そこにシャンパンが運ばれてきて、彼はグラスを持った。


「誕生日おめでとう。乾杯」
「ありがとうございます」


コクのあるシャンパンをひと口含むと、幸せな気分になれる。

誕生日を祝ってもらえるなんて、うれしくて心が跳ねっぱなしだ。


「飲める?」
「はい、おいしいです。飲みすぎちゃいそうです」
「かまわないぞ。今日は好きなだけ飲め」
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