エリート弁護士は独占欲を隠さない

「五十嵐は甘えがあるんじゃないか。新人だから間違えても仕方ないと思ってるからミスが出る。クライアントは信頼して任せてくれるんだ。お前が新人かどうかなんて関係ない」


まったくその通り。
パラリーガルじゃないんだし、そこそこできればあとは弁護士の先生たちがフォローしてくれると思っていた。

その結果、さっきのような集中力を発揮することもなく、書類の山が減っていくだけで満足していた。

これまでついた先生たちはそれでOKで、記入漏れは付け足してくれていたし。

それに甘えてきたから、緊張感もなくだらだらと仕事をしているだけだったんだと目が覚めた。


「おっしゃる通りです。申し訳ありません」


涙目になりながら頭を下げる。
すると彼が立ち上がったので緊張が走った。


「俺たちの仕事は、時にクライアントの人生を左右する。それを肝に銘じておけ」
「はい」


直立不動で返事をすると、「今日は合格だ」と私の肩をポンと叩いて、部屋を出ていった。

私はこの日を境に、“新人”という意識を捨て去った――。
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