星の向こうできみを待っている。

暗くなり始めた時間帯。あたしは、家に帰る前に近くの公園に寄った。プラネタリウムを見に行った日、待ち合わせに使った公園だ。

あの時計台に颯斗が寄り掛かって待っていて、あそこからあたしが、颯斗の写真を撮った。


バレた時の、颯斗の呆れ顔。

まだ、覚えているよ。

スマホからは、颯斗の連絡先も思い出も全部消えてしまったけれど、あたしの中にはまだある。ちゃんと残ってるよ。



「…希愛?」


あたしの名前を呼ぶ低い声が薄明るい公園に響いた。反射的に声がした方を振り返ってみると、背の高い男の人が立っている。
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