恋する剣士
普段なら、すぐに解散になるはずが
明を追った山崎烝の帰りを皆が、静かに待つ


「戻りました」



天井から声がして、皆が身を乗り出すように姿勢を正す


土方の前に降り立つ山崎が、すぐに跪く


「つけている事はバレているはずなんですが…」

言いにくそうに永倉をチラリと見た


「言ってくれ」

「長州の屋敷に入っていきました」


山崎の言葉に部屋の空気がピリッと張り詰めた


「なるほどな…」


嬉しそうに土方がニヤリとする


「山崎、その屋敷を見張れ
アキラから、接触があるまでは近付くな」


「承知」



再び天井に姿を消す山崎を見送り、原田が問う


「なるほどってなんだ!?
俺にわかるように言ってくれよ!」




土方は、再びニヤリと笑うと

「さぁな、わかんねえよ」


「随分と楽しそうだね?」
山南が横目に見る土方は、確かに楽しそうに
ニヤニヤ笑っている


< 11 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop