恋する剣士
慶喜が明の横顔を見て、息をのむ


視線は、確かに庭にあるが
心ここにあらずといった目をしていた



「アキラ…」




呟き、これが本当の名でないことを思い出す


「あ、すまん…」


「…アカル」


「ん?」


「わたくしの名です」


「明… そうか、明か!」



喜ぶ慶喜と真逆に、心底辛そうに顔を歪めた


慶喜に抱えられ、布団に寝かされた
目を閉じ、寝たふりをすれば慶喜が出て行くだろうと
寝たふりをすれば


唇に柔らかな感触







ーーー春まで
   結婚を延ばしたのは
   わたくしの心が新八君にむけられていることを
   昴は、気づいていたのかも…
   


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