君の残り時間を僕にください
ある日、いつも通りレントゲンを撮りに
病棟を訪れた時。 それは起きた。



「レントゲンなんて聞いてねぇんだよ。
勝手に撮りにきてんじゃねぇよ。
上の奴よべ」




ポータブルレントゲン検査の予約があった
肺癌終末期の患者の病室に訪れると
怒鳴られたのだ。



予約が入ってることも伝えたが
聞き入れる様子がない。




通りかかった看護師に相談すると
「この人、レントゲンなんて必要ないのに。
怒るだけだし機嫌損ねないでほしいわ。
もう亡くなるだけなんだから」



そう言うと何もせず行ってしまった。





(どうすればいいんだよ)



とりあえず主治医に連絡して
レントゲンを消してもらおう。



電話で患者の状態を伝えると
主治医は簡単にレントゲンを削除した。



在宅を希望しているが難しいらしい。
在宅に戻れるかの査定でレントゲンを
入れたらしいが、もういいらしい。



機械を片付けて部屋を出ようとした
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