星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
 私たちは夜璃子さんの家を後にした。
 ざくざくと雪を踏み、大学の門の前に着く。


「頑張っておいで」

 手袋を外した先生が左手を伸ばす。


「ありがとう」

 私も手袋を外してその手をしっかりと握り、他の受験生たちみたいに握手した。

 私たちが他と違うのは、先生が親指で私の薬指の青い石をそっと撫でてくれること。
 まるで先生の想いを吹き込むみたいに。


 先生がここにいる。

 大丈夫─


 手を離すと私は目一杯の笑顔を先生に向ける。

 大丈夫だよ、安心して、って。


 そして颯爽とその門をくぐっていった。

        *   *   *
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