向日葵だけが知っている
「うん。」
美千留は一瞬眉をひそめると、元の表情に戻った。

「…そういえば、演劇部に入った?」

「うん。入った。表になった。」
美千留は驚いた顔をした。

「…あんなに裏は嫌って言ってたのに…」

私は軽く笑うと言った。
「ある先輩のお陰で自分を変えたいって思えたから。」

「ひまりちゃん。」

クラスメイトが私を呼んだ。
「あっ、美千留ごめん、またあとで」
「…わかった。」


ひまりが完全に立ち去ると美千留は小さく呟いた。



「…もう、少し成長していると思うけどな…」

もちろん、その声はひまりに届かなかった。
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