先生はめんどくさがり。
現実は、まだ高校生の私にはあまりに重すぎて、不釣り合いだった。
…私が、先生の邪魔になる。
後ろから、先生が私を呼ぶ声が聞こえる。
早く捕まえて。
もう離さないで…
そう思うのに、私の走る足は止まってくれない。
「恋!」
先生の家の前に出た時、腕を掴まれて、私の足はやっと止まった。
「恋…」
「私、今…混乱、してて…」
先生の手が私の手を握ってるはずなのに、どうしてこんなに冷たいんだろう。
「親父の話は気にしなくていいから」
「そんなの無理…」
「…こっち見て話せって」
見れない。
だって先生は、また悲しい顔してるでしょ…?
そうさせてるのは、私なんでしょ…?