次期社長と訳あり偽装恋愛

私は安堵のため息をつき、自動販売機で購入した紅茶を手に椅子に座る。

よくあんな大胆なことが出来たよな、とさっきの自分の行動を思い出してひとり赤面する。
でも、立花さんはここではキスできないとか言って前に私の額にキスしたことあるよね。
もしかして、キスって唇にってこと?
ひゃー!
想像しただけで悶絶してしまう。

立花さんが目の前にいると、いろいろと流されてしまいそうになるので、会社では気を引き締めなきゃ。

ペットボトルの蓋を開け、紅茶を一口飲んでいたら休憩スペースに人が入ってきた。

あれは、秘書課の亀井祐介さんだ。
黒髪のオールバックに黒縁眼鏡、いつも冷静沈着で怖いイメージがある。

不意に目が合い、慌てて会釈した。
亀井さんは小さく頭を下げ、すぐに目を逸らすと自動販売機に視線を向けた。

休憩スペースに亀井さんと二人……。
特に会話する訳ではないけど、居心地が悪くなったのでさっさと仕事に戻ろう。
私は椅子から立ち上がると飲みかけの紅茶のペットボトルを持ち、その場を離れた。
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