次期社長と訳あり偽装恋愛
「梨音先輩、ビッグニュースです!」
食後のコーヒーを飲んでいたら、友田さんが慌ただしく戻ってきた。
「どうしたの?」
「さっき食堂で立花さんを見かけたんです」
立花さんという名前を聞いてドキッとしたけど、それを表情には出さないよう気を付ける。
友田さんは興奮気味に話を続けた。
「何と、立花さんは手作り弁当を食べてたんです!」
思わず飲んでいたコーヒーを吹きそうになった。
「何それ、興味深い話ね」
私の向かいに座っていた桐野さんが会話に加わる。
「ですよね。あれはきっと彼女の手作り弁当だと思うんです」
「でも、立花さんに彼女はいなかったはずだから自分で作ったんじゃない?」
「えー、でも女性が使うような二段重ねのお弁当箱に可愛い保冷バッグを横に置いてたんですよ。あれは自分ではチョイスしないと思います。立花さんは彼女以外が作ったお弁当なんて食べないような気がするんですよね」
「母親かも知れないよ?」
「さすがにそれはないんじゃないですか?」
友田さんは自分が見た事柄からいろいろ推理し話している。
内容が内容だけに変な汗が出る。
「じゃあ、ここ最近で彼女が出来たのかな」
「そうだと思いますよ!うわー、誰なんだろう。お弁当を手作りしてくれる彼女」
いろいろ思い当たることがあり、私は一切口を挟めない。
なぜなら、立花さんが食べていたお弁当は私が作ったものだからだ。