次期社長と訳あり偽装恋愛

この前、私の部屋に立花さんが来た時の会話が原因だ。
会話の中で私がお弁当を作っていると言ったら立花さんが『いいなぁ』と呟いた。
それで私はまた『よかったら作りましょうか?』と口を滑らせた。
しまった!と思ったけど後の祭り。

立花さんは『いいの?』と目を輝かせ、嬉しそうに笑った顔を見て引き下がれなくなった。
発した言葉は取り消すことは出来ないし『楽しみにしてる』とまで言われたから、プレッシャーだけど作るしかないでしょ。

特に何も考えず、私が普段使っている弁当箱を使用した。
男の人がどれぐらい食べるのかよく分からなくて、私のお弁当よりかなり多めに詰めた。
あと、おにぎりも追加で握った。
弁当箱を保冷バッグに入れて、出社前に立花さんに渡したんだ。

どこで食べるとか聞いてなくて、まさか社員食堂で食べるなんて思わなかった。
しかも、そのお弁当についてそこまで詮索されることも想像していなかった。
失敗したなぁ。
次にお弁当を作るときは男性用の弁当箱を買って用意するべきだな。
次があるか分からないけど。

そういえば、お弁当は立花さんの口に合ってるかな。
そんなことを思っていたらスマホにメッセージが届いた。

《弁当、美味しかった。ありがとう》

ドンピシャなタイミングで気になっていた返事が来た。
私はそれを見てホッと胸を撫で下ろした。
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