血だらけペガサス
異次元とも思えるような静寂が、
数秒続いた。
窓から目が離れなかった。
理由は分からない。
けれども向けられた視線が
ピタリと固まって動かなかった。
「…………ナンだ? あれ」
ほぼ無意識に、
倫太郎の口から困惑の声が漏れた。
まだ外には何もない。
しかしすぐに異変が起こるだろう。
数秒後、思ったよりそれは早かった。
空に、何かが浮かんでいるのである。
表面が赤黒くテカテカとしている巨大な丸いモノが、
異様な存在感を放ちながら、
「……星だ」
と倫太郎は言った。
赤色巨星のことである。
きっとどこか遠い空の星が死んで、このように赤色の奇妙な形ができてしまったのだとも想像した。
星に気づいた女子たちが「キャー」と悲鳴をあげる。
非現実さを感じた男子たちが「ヤベーよ」と半ば面白そうに騒ぎ出す。
確かにこの現象はヤバいよな、
と、倫太郎は少し恐怖していた。