God bless you!~第12話「あたしの力、あなたの涙」
エピローグ~分かってると思うけど
9時56分。
リアル・学校の怪談。
それほど、あたりは真っ暗だった。
まさかと思い様子を見に来たが、本当にいるんだろうか。
いつかのように、『外に居るよ♪』と送っておいて、『ウソだよ♪』と来る事も十分有り得ると思った。
そうなると、こっちはただの痛い野郎だ。
スマホを何度も見た。自宅に電話したら親父が出た。よしこじゃなかった。今日はツイてる……。
外から校舎に入る秘密の通路を行く。
3年でもここを知っている生徒はあまりいない。生徒会をやっていると嫌でも学校の事情に精通してくるから。どこに抜け道があるか、防犯装置があるか、時々来るという警備会社の予定まで知っている。
窓が開いていたら、居るはずだ。引き戸をゆっくり引くと、開いた。
目がだいぶ慣れてきたとはいえ、部屋の中に入ると外以上に暗い。
窓を閉めると同時に、「こっち」と、小さな声がした。
本当にいた。
窓を閉め、カーテンを引いたら、そこはさらなる闇に包まれる。
本当に何も見えなかった。
「どこ?」
あたりを探りながら進んでも、テーブルや椅子に何度もぶつかる。
「テーブルの下だよ」
え?とテーブル辺りを探って恐る恐る手を伸ばすと、何か布のようなものが掛かっている。
「その暗幕の中」
「暗幕って……」
それは確かに闇だらけにもなる。
布をくぐって座ると、隣でちょっと温度が上がったような気がした。
規則正しく呼吸が続く。動くたびに風が起こる。
隣に右川がいる……と思う。
右川はすっかり眼が慣れていたらしい。俺が見えたのか、その腕を取り、もたれてくる。もじゃもじゃの髪の毛から右川の匂いがした。
左腕が、その頬に触れた時、サポーター?包帯?のような布地を感じた。コンパクトになった火傷のあと。
右川を強く抱きしめた。
突然、右川がくしゃみをして、腕の中でぶるっと震える。
「風邪ひいた?」
「もう、あんたが早く来ないから。寒くて寒くて。仕方ないから暗幕ダブルで被ったけど、やっぱり寒いんだよ。分かってると思うけど、あたし何も着てないんだからね」
え……。
着てない。
妙な予感が無かったと言えば嘘になるけど、早くもそこまでチャージしているとは……あんまり驚いて、照れ臭くて、嬉しいというよりも困って、思わず笑ってしまう。
「別に、俺の事、励まそうとかしなくていいのに」
「そんな思い上がり、自惚れ、毛頭ございませーん。貧乳ですから」
ワザとフザけた物言いは、右川の照れ隠しなのか。
だけど、俺側に何の用意も無い。
その時、いつかの光景がふと甦る。

中3の12月。
ベッド脇の、見たことも無い体温計。
〝もしかして、風邪ひいてるんですか?〟
気になって、何度も訊いた。

右川が寒いとかツラいとか……あれは何日くらい前の事だろう。
この年で女子の事情にそこまで詳しくなっている自分もどうかと呆れる。
不意に、「あるよ♪」と耳元で歌う声がして、我に帰った。
右川は両手を離すと、「あれ。どっかいった」と辺りを探り始めた。
「あったあった」とホイホイ渡される。
恥ずかしいを通り越して、いっそ清々しい……訳ないだろ。
男の事情に堂々と立ち入るおまえこそどうなの、だった。
暗幕を被ったまま、1回テーブルの外に出た右川は、「寒い」と声を上げて、また戻ってきた。
「な、なう」とか言いながら、震えている。「マジで風邪引くぞ」
右川の差し出した暗幕を被った。
冷たい暗幕を被ると、また一段と冷える気がする。
ゆっくりと肌をつないだ。
腕の中で小さく震える右川に、喜びだけを運びたい。
真っ暗な闇の中で、それだけを願った。





<Fin>

.:*゚..:。:. ☆o。.:*゚:.。:. ゚・*:.。..。.:*・゚ o☆.:*゚..:。:. ゚・*:.。..。.:*・゚.:*゚
第13話 予告。
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近付く、受験。
からの~、友達の恋の橋渡し。
からの~、肉食系女子・藤谷サユリとのバトル。
からの~、ハルミちゃんの陰謀は続くよ、どこまでも。
そして、2人のクリスマスへ。

お楽しみに♪
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