御曹司様の求愛から逃れられません!
数秒静まり返ったが、玲奈さんが「あらまあ」と軽い相づちを打ったことを皮切りに、絢人さんも眉を寄せて「なんでだよ」と詰め寄ってくる。
「……ごめんなさい」
「いや、ちょっと待って。なんでダメなの。俺のこと好きじゃないの?」
好きだと答えたら彼はこの結論に納得してくれないだろう。
気持ちを確認するようにふたつの手を控えめに握られるが、私は彼の手の中から自分の手をするりと手前に滑らせた。
「……分かりません」
ここで出ていかなければまた気持ちが揺らいでしまう予感がした。私は彼の手から完全に逃れ、一歩ずつ後退りをしたあとで、覚悟を決めて出口の扉へ一直線に走り出した。
「真夏!」
「絢人さんすみません!私もう戻ります!」
私は振り返らずに後ろ手に扉を閉めて、長い廊下を全力で駆け抜ける。今応接室から誰かが出てきたら確実に衝突事故を起こすけど、その先に見えているエレベーターにとにかく早く逃げ込みたかった。
駆け込んでボタンを数回連打すると、扉はワンテンポ遅れてじれったく閉まっていく。
絢人さんが追いかけてくる足音がしたけど、目を合わせなくなくてずっと下を向いていた。扉が閉まりきり、ようやくひとりの空間になる。
体は熱を持ったままだった。絢人さんの一番になりたかったはずなのに、いざ目の前にすると未来が怖くて仕方ないなんて。
……私はどうしたらいいのか、もう分からない。
「……ごめんなさい」
「いや、ちょっと待って。なんでダメなの。俺のこと好きじゃないの?」
好きだと答えたら彼はこの結論に納得してくれないだろう。
気持ちを確認するようにふたつの手を控えめに握られるが、私は彼の手の中から自分の手をするりと手前に滑らせた。
「……分かりません」
ここで出ていかなければまた気持ちが揺らいでしまう予感がした。私は彼の手から完全に逃れ、一歩ずつ後退りをしたあとで、覚悟を決めて出口の扉へ一直線に走り出した。
「真夏!」
「絢人さんすみません!私もう戻ります!」
私は振り返らずに後ろ手に扉を閉めて、長い廊下を全力で駆け抜ける。今応接室から誰かが出てきたら確実に衝突事故を起こすけど、その先に見えているエレベーターにとにかく早く逃げ込みたかった。
駆け込んでボタンを数回連打すると、扉はワンテンポ遅れてじれったく閉まっていく。
絢人さんが追いかけてくる足音がしたけど、目を合わせなくなくてずっと下を向いていた。扉が閉まりきり、ようやくひとりの空間になる。
体は熱を持ったままだった。絢人さんの一番になりたかったはずなのに、いざ目の前にすると未来が怖くて仕方ないなんて。
……私はどうしたらいいのか、もう分からない。