俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
俺も処刑は嫌だ。しかし、仕事をクビになっても誰かに殺されるわけではない。黙って耐えるのにも限界がある。俺はその限界を超えてしまったのだ。

「……ふふっ。おもしろいじゃないか」

男性は普通の貴族なら怒るような台詞を聞かされたのに、ニコニコと笑っていた。それには俺も驚く。

「金曜日に迎えに来る。重要な話がある。……絶対に忘れるなよ」

そう告げると、男性は交番を出て行った。

「……知り合い?」

レムが訊ねる。俺はもちろん首を横に振った。

あの男性は何者なのか、話とは何なのか……。

疑問だけが残る不思議な日だった。



金曜日、俺の勤務時間が終わり、俺が交番から出ると、立派な大きな馬車が交番の前に止まっていた。

豪華な馬車を通行人がチラチラ見つめながら通り過ぎていく。俺の足が止まった。

「お〜い!迎えに来たぞ。早く乗れ!」

窓からあの男性が顔を出す。御者が降りて来て、ドアを開けた。

「えっ……」

戸惑っていると男性が馬車から降り、俺の手を掴んで馬車に押し込んだ。
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