俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
「私、オペラハウスでオペラを見るの初めて!とっても楽しみ〜」

リリーが無邪気に笑う。俺は疑問をぶつけた。

「タンバリー国にもオペラハウスはあるだろう。見に行ったりしなかったのか?」

俺がそう訊くと、リリーは一瞬表情を曇らせた。しかしすぐに明るい笑顔で俺に話す。

「家が厳しくて、ずっとこもってピアノやダンスの練習ばかりだったから……」

「そ、そうか……」

貴族だから一日中暇をしているのだろうと思っていた自分が情けなく感じた。リリーもリリーなりに苦労して生きてきたのだ。

それからは、俺たちは一言も話さず緞帳が下りた舞台を見つめていた。

しばらくすると、開演ブザーが鳴り響き、客席がゆっくりと暗くなっていった。

「いよいよだね」

リリーが呟く。俺は無言で頷いた。

緞帳がゆっくり上がると、美しい衣装に身を包んだ人々がスポットライトの下で歌や踊りを始めた。共通語だけでなく、ラス語はもちろん、タンバリー語やギール語など様々な言語が飛び交う。どうやら役者たちの出身国はバラバラのようだ。
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