俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
「今日、とっても素敵だった!感動をありがとう!」

リリーの無邪気な笑顔に、フローレンスは照れながら「そんなこと、ないですわ…」と返す。

リリーは素直に感想を述べる。この言葉が嘘やお世辞ではないことはここにいる全員がわかる。

馬車はゆっくりと走り出した。

途中、後ろを見てみたが、リリーの姿はもうどこにもなかった。



恐ろしいほど目立つドレスから地味な服に着替え、その人物は辻馬車を止めた。

「ルード通りに向かってください」

御者にそう伝える。ルード通りはベルベット卿の屋敷のように自然に囲まれた場所だ。

馬車の外を流れる景色を、その人物はぼんやりと眺めた。

これから先のことを考えると、憂鬱なことばかりだ。どんな幸せもいつかは終わりを迎える。

また、あの頃のように戻ってしまうのでしょうか……。

その人物は心の中で呟く。

馬車は三十分ほど走り、ルード通りに到着した。

「……ありがとうございます」

運賃を支払い、その人物は目的地へと歩いた。
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