優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


「だからあんたに絵を依頼しても間に合わねえから断ったけど。でも俺はやっぱ蕾の絵が好きだし、弱いあんたを笑うあいつらみたいなの許せねえし」

「ま、まって、転校っていつ?」

「二学期からかな。親父と何回も殴り合ってるけど、一回しかパンチ入らなくて。やっぱ武器が必要かな。俺が勝ったら少しは考えが変わるかなって」

「二学期……」

プールが始まった今は、期末テストを残すのみのもう数週間しかない。

隠していたのか、本当に父親を負かせてなしにするつもりだったのか、今まで見てもいなかった彼の考えは全く分からない。

「昨日、優大の親が来てたのって、それの手続きだったんじゃないの?」
「まあそうかなー」
「はあ!? お前、転校しないって言ってたじゃねえか」
「ふざけんなよ!」
「お前がプール落ちろよ!」

 さっき泣いていたはずの男子数人が彼を羽交い絞めにするとプールに突き落とす。
 壊れた携帯を集めていた女の子たちも、男の子たちを応援し始めていた。
< 47 / 197 >

この作品をシェア

pagetop