優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「ええ!?」
紗矢がプールの縁ぎりぎりに私を押すので、今にも落ちそうで怖い。
「なんで蕾を連れてきてんだよ。てめえも落とすぞ」
「落としたかったらどうぞ!」
状況の分からない緊迫した中、プールに落とされた男子が一人泣き出した。
その泣き声が嗚咽に代わると、陣之内くんが深くため息を吐いた。
「泣いてんじゃねえよ。お前ら、俺の携帯弁償しろよ、くそが」
こくこくと頷く三人と、見ていただけの男子が、バラバラになった携帯を集めだす。
陣之内くんはバツが悪そうに髪を掻き上げながら私の方にやってくる。
怖いので紗矢に抱き着くと、彼はさっきとは違う落ち着いた表情になっていた。
落ち着いている、というより冷たくて怖い。
無機質な機械みたいだ。
「あのさ。もう面倒だからはっきり言うけどさ」
「ひい」
顔が近づいてくる。いくら整っているとはいえさっきの怒鳴り声を知っていた私は、足が震えた。
「俺、転校すんだよ」
「……え?」
「えええ!?」
紗矢の叫びと同時に泣いていた女子たちも目を丸くする。