【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「愛川先生、何だって?」
「六時には迎えに行けるから、そこで待ってろって、一方的に切れちゃいました」
コンコースの中央にある大きな時計の針は、午後四時過ぎを指している。
「まだ二時間も先だし、乙葉さんどうします?」
「愛川先生に挨拶もしたいし、一緒に待つよ」
「挨拶?」
どうして乙葉さんが、愛川先生に挨拶する必要があるのだろう。うむと考えるが、よくわからないわたしは小首を傾げた。
「なんか、すみません。お茶したら帰るつもりだったのに、付き合わせてしまって」
「でも。わたしが一緒にいたら、愛川先生驚くかもしれないね」
「あぁ、確かに」
そうだった。
真澄さんのこと。わたしたちのことを乙葉さんに話したと言っても、さほど動じないだろう。けれど、なんとなく言いそびれてしまっていた。
「病院で見る愛川先生と全然違う人ですよ。乙葉さんこそ、驚かないでくださいね」
一緒にいる乙葉さんを見て、真澄さんは一体どんな顔をするのか。
わくわくする気持ちを抑えながら、乙葉さんの腕に自分の腕を絡める。
「さ、時間までカフェでお茶しましょ」
早く真澄さんに会いたい──
乙葉さんの腕を引き、軽やかな足取りでカフェへと急いだ。