【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

あれは確か、ここで暮らすことになった翌日。昼を回った頃、真澄さんは田所先生に呼び出され病院へと向かった。そして夜が更け空も暗くなったころ帰ってきた真澄さんは、何を思ったのかいきなりわたしを強く抱きしめた。最初は何か冗談を言っていたような気もするが、彼の体が小刻みに震えているのに気づいたわたしは、何かあったと察して彼が弱ってると感じたんだったっけ。

あの時は母性本能とか思って、好きな気持ちに蓋をしていたけれど、今は違う。真澄さんが強いだけの人ではないのなら、弱い部分も全部知りたい。

どんな彼も、まるごと愛したい──。

胸の奥からじわりと湧いてきた想いが、自然とわたしを掻き立てる。自分の体の上に乗っている真澄さんの背中に腕を回すと、その大きな背中をゆっくりと擦った。

「わたしから見たら、真澄さんはやっぱり強い人です。でもわたしだっていろんな真澄さんを見てみたいから、時々は弱音を吐いてもいいですよ」

わたしの言葉に耳を傾けていた真澄さんが、少しだけ顔を上げわたしを見つめる。

「思ったとおり、やっぱり蘭子はできた女性だ」


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