【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「質問に答えて。なんで溜息なんてついた?」

至近距離で見つめられ、唇をふるふると震えだす。顔を逸らしたくても顔を挟んでいる力は思った以上に強く、うんともすんとも動かない。

「べ、べつに、溜息に理由なんて……」

これ以上見つめられたら、顔に穴が空いちゃうよ……。

ならば目だけでもと逸らしてみたが、それさえも許さないと愛川先生の顔が追ってきた。

「ふ~ん、そうなんだ。わかった、じゃあ質問を変える。そこの大きな荷持は何?」
「……大きな、荷物?」

愛川先生はそう言うと手の力を緩め、少し自由を散り戻した顔を動かして指差す方を見た。

「あ……」

すっかり忘れていた。

一体、何をしているんだ。わたしは愛川先生と戯れるために、ここへ来たんじゃない。しばらく暮らす場所を確保するために来たというのに、愛川先生に見つかってしまってどうしたらいいの?

バッグの中身は着替えです、しばらくここで生活させてくださいと懇願する? それとも、このままだんまりを決め込んで、何が何でも居座ってみる?

なんて、どっちも無理だ。余計なことを言って要らぬことを勘ぐられるのは面倒だし、他にいい案も浮かばない。

やっぱり園枝さんに連絡してみようかな……。

バッグを持って何も言わずにここを出ようと立ち上がるが、途端臀部の辺りに激しい痛みが走り、苦痛に顔をしかめた。


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