【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「理由も言わずに見逃してもらおうなんて、ちょっと虫が良すぎるんじゃない?」

驚いて顔をあげると、意地の悪い顔を見せる愛川先生と目が合った。

虫が良すぎる……確かにそのとおりだと自分だってそう思う。そう思うけれど、まさか愛川先生の口から、そんな言葉を気聞くことになるなんて。

何も言い返せなくなったまま黙っていると、愛川先生が少しずつ近づいてきた。

「まあ俺も鬼じゃないからね。ちゃんと理由を話してくれたら、君の願いを聞いてあげてもいいけど?」

愛川はグッと顔を寄せ、ニヤリと笑ってみせた。

「先生!? 顔が近いです!」
「じゃあ理由、聞かせてよ」

悪意のありそうな笑顔で囁くその言葉を聞いて、背中に寒気が走る。

これが本当に病院にいるときの愛川先生と同じ人なの?

今目の前にいるのはチャラ男じゃなく、まさしく鬼そのもの。理由を言わなければ、この場ですぐ極刑に処されそうだ。

よりにもよって愛川先生に見つかるなんて、私って運が悪い……。

でもこのまま、この現実を切り抜けられるような、いい言い訳も浮かんではこず。仕方ないと諦めて、アパートでの出来事をぽつぽつと話し始めた。



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