【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「医者ではないですけど、わたしも病院で働く身です。弱ってる人を放ってはおけません」
「弱ってる、俺が?」
「違いますか? なんとなく、そんな気がして」

女性には母性があるという。いわゆる“母性本能”と言うやつだ。

ふだんは強がっていたり威張っていたりする人が、ふとした瞬間に特定の人だけに見せる態度。それに女性は母性を感じ、なんとかしてあげたいと思ってしまう。

まさに今が、それなんじゃないだろうか。

じゃなかったら、真澄さんのことなんて……。

「弱ってるかもな」
「え?」
「参ってる。こんなこと初めてじゃないのに、何度経験しても慣れない」

真澄さん派微笑んでいた顔を少し歪ませると、わたしから視線を外した。

何が? と聞くことは簡単だが、今はあえて聞かなかった。真澄さんは言いたいことや聞いてもらいたいことがあるなら自分から話す、そういう人だ。

聞くことはいつだってできる。真澄さんが話したくなったら聞いてあげる、それが一番いいと思ったから、今はあえて聞かない。

わたしは真澄さんの下からするりと抜け出すと、その場にしゃがんで真澄さんを目線を合わせた。



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