【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
どのくらいの時間、そうしていたのか。
真澄さんは腕立て伏せのように自分の体を上げると、わたしのことを真上から見つめる。そっと髪を撫でその手を頬に当てると、ゆっくりと顔を近づけてきた。
このパターンは、昨日から何度も経験している。すぐに、キスされる──そう気づいたが、何故か拒否することも抵抗することもできなかった。
いや、できなかったじゃない。拒否も抵抗もしたくなかった。
真澄さんがわたしを欲しているように、わたしもまた彼を欲していた。どうしてかなんてわからない。でも今はそうしたかった。
そんなわたしを見て真澄さんは少し驚いたような顔を見せたが、それをすぐに優しいものへと変えると唇を重ねた。
それは病院へ行く前にされたキスとは違い、ほんの一瞬触れるだけの柔らかいキス。唇を離した真澄さんはすぐに、おでこおでこをコツンと合わせると優しく微笑んだ。
綺麗に整った顔が間近に迫り吐息が鼻を掠めると、キスされるよりもどきどきしてしまう。
「な、なんですか?」
「いや、いつもみたいに怒って離れようとしないし、やけに優しいじゃないかと思って」
「それは……」
言えない。自分も真澄さんと、キスしたかったなんて。